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□ 真約・デーモン学書 □

これは若き天才魔術師リルビニアンが独自に編纂したデーモン文献。
おおよそ人間の知りえない、人知を越えたデーモンにまつわる研究資料となります。

彼は忌まわしい事件を起こした後、失踪。
現在に至るまで消息不明と云われています。
本書は長らく秘術ギルドに秘匿され禁忌とされていたものの、何者かの手により暴かれ、その存在を公にしました。

■ デーモン(魔神)

人の身の丈二倍を超える体躯を持つ真紅の悪魔。
――正確には下位の魔神の体色が紅い。
その手の得物は形は違えど、何れも魔神界で鍛えられた業物である。
身体能力、魔力ともに非常に優れ、人間を遥かに凌駕する。

位階というカースト制度を持ち、下位の魔神ほど肉体的にも精神的にも劣る。
ただし、最下位の魔神すら熟練の冒険者をも易々と下すことが出来る。

■ デーモンの種族

デーモンには幾つかの大きな種族がある。
そもそもデーモンという一くくりには出来ないほどの差異であるが、人間には大よそ理解不能であろう。

  • □ コモン

    通常のデーモン種である。
    下位のレッサーデーモンは真紅の身体を持ち、あまりにも有名だ。
    人間が一般的にデーモンというと彼らの事をさす。
    彼らは四人の王に支配される。

  • □ エルダー

    異界、宇宙の彼方から召還される異質のデーモン。
    蒼ざめた身体を持つ下位のアイス・フィーンドが有名であろう。
    彼らは旧支配者と呼ばれ、旧神とも呼ばれるノーデンのガーディアン(シバルタス)共に宇宙の彼方へ放逐、捕囚された者たちである。
    絶対の王『アザトース』の下に位階が形成されている。

  • □ パイロス

    火の魔神パイロスが従える直属のデーモン。
    パイロスを始め、四柱の魔神はコモン種とは独立した存在である。
    彼らはその属性のエーテルを支配する者として創造主の直属にあるからだ。
    しかし一般的にパイロスはデーモンたちの王と言われている、もちろんこれは正確ではない。

  • □ アークデーモン

    これは間違えなくデーモンなどでは無い。
    大よそ理解不能であろう、生きた金属の塊のようなものだ。
    一人の王と四人の側近が確認されているが、それら以外の固体が存在するのかは不明である。
    その起源、発生など、何も分っていない。
    デーモンではない根拠は、後述するデーモンの行動理念を持っていないからである。

  • □ シャドーロード

    これも行動理念が異なるのでデーモンではない。
    恐怖の象徴として彼らの姿形を真似ているに過ぎない。
    最たる破壊の化身である。

■ デーモンの役割

デーモンは三つの超越した種族の一つである、それ自体に存在意義がある。
彼らの行動理念として”世界の破壊”に繋がることは禁忌とされている。
それは彼らが”世界の創造”を担っているからだ。

三つの超越種族とは『魔神』『竜神』『神魔』である。
魔神が造り、竜神が維持し、神魔が破壊する。
これが何人も侵すことの出来ない宇宙の理なのだ。

余談だが、竜神は眷属のみを残し、姿を消して久しい。
世界が無に帰すのも、そう遠くは無いだろう。

■ デーモンの種類

  • □ デーモンロード <Daemon Lord>

    金色の身体を持つデーモンの王。
    常に四人の王が存在し、恐らく最強といわれる力を持っているだろう。
    『ルシファー』『ベルゼブブ』『リヴァイアサン』『アスモデウス』の四人が現在の王であり、四方に配置されている。

  • □ バルロン (グレーターデーモン) <Balron/Greater Daemon>

    漆黒の体を持つ上級のデーモン。
    ”深淵の魔王””魂の狩人””殺戮者”と呼ばれる称号を持ち、最高の魔剣を振るう。

  • □ デーモン <Daemon>

    通常魔神と呼ばれる階級、真紅の体をもつ。
    人界と契約し知恵をもたらすとも云われ、かつてソロモン王に仕えた 64 柱の魔神も彼らである。
    全ての知識、悪徳などの一切を人間に伝え、人界の創造にもっとも関わるデーモン。

  • □ レッサーデーモン <Lesser Daemon>

    デーモンと見た目は変わらない下位のデーモン、とても好戦的で危険。
    実は上位のデーモン以上に優れた戦闘センスを持ち合わせている。

  • □ アルカナデーモン <Arcane Daemon>

    肉体能力を犠牲にし、魔法能力に特化したデーモン。

  • □ ケイオスデーモン <Chaos Daemon>

    逆に肉体能力に優れたデーモン。
    とは言え、実力はかなり劣り、レッサーデーモンの足元にも及ばないだろう。

  • □ ファイアスティード <Fire Steed>

    魔神の乗騎であり、魔神自身でもある炎の馬。
    その実力は上位の魔神に匹敵する非常に強力なデーモン。
    もともとは天の座天使だったとされる、かの天使は燃える車輪であり、戦車であるからだ。

  • □ サキュバス <Succubus>

    バルロンが女性の姿形をしていると思ってくれてかまわない。
    実力もバルロンに肉薄する。
    ただしバルロン以上の魔力を持ち、彼女らを包むドレインフィールドは敵対者を確実に破滅へと導く。
    最も危険なデーモンだろう。

  • □ ウィップアーウィル <Whippoorwill>

    冥き炎を纏った不死鳥ポイニクス。
    悪人の魂を冥府に運ぶと云われ、絶命の直前に際し、大挙して鳴きたてると云われている。
    とんだ迷信だ。

  • □ マイルフィックロード <Maelific Lord>

    エルダー種の副王『ヨグ=ソトース』と呼ばれている。
    『アザトース』に仕え、四柱の王を支配する立場にあるらしい。

    王『アザトース』は時空の狭間に封印されているらしい。
    ナイアルラトホテップによれば、それは本名ではなく恐ろしい名前を隠すための呼び名だそう。
    ホテップ自身、その名を覚えていないそうなので、お手上げというほかない。

  • □ エルダーマイルフィック <Elder Maelific>

    エルダー種の四柱の王。
    彼らも四つのエーテルを支配する立場にある太古のデーモン。
    『火のクトゥグア』『水のクトゥルフ』『風のハスター』『土のナイアルラトホテップ』

    なお、これらの知識はホテップ自身からもたらされた物が多い。

  • □ マイルフィック <Maelific>

    エルダー種のデーモン。
    コモン種の『デーモン』に相当するものの、バルロンに匹敵する実力を持った非常に危険なデーモン。

  • □ アイスフィーンド <Ice Fiend>

    エルダー種の蒼いデーモン。
    その正体は実体化したマイルフィックの影であり、彼ら自身は実在しない者たちである。

  • □ ゲートキーパー <Gatekeeper>

    真にパイロスが支配する上級デーモン。
    魔神界の門や、グレート・ステイジアン・アビイスなどを守護しているのが彼らだ。
    炎のオーラは近寄る物に破滅を与える。

  • □ バルログ <Balrog>

    パイロスの支配するデーモンで下位のものたち。
    とは言え、未熟な冒険者であれば彼らの姿を見たと同時に絶命するだろう。

  • □ アークデーモンロード <Arch Daemon Lord>

    『大魔王バイドゥラーク』と呼ばれる謎の生命体。
    何者かの意思により新たな世界を創造しようとしているらしい。
    実際に会った事は無いので謎に包まれているばかりだが。

  • □ アークデーモン <Arch Daemon>

    バイドゥラークが従える四天王。
    『虚神アンゴルモア』『死神セムイ』『魔神ヴァッサゴ』『邪神アークメイヤー』の四体。
    無敵とも思われる朽ちぬ身体を持った悪魔たちだ。

  • □ シャドーロードの使徒 <Followers of Shadows>

    世界の破滅を目論む影の使徒たち。
    詳細を伝えることは禁じられている。
    彼らは人や動物の姿をとり、虎視眈々と機会をうかがい、あますことなく全てを見ているよ。

■ リルビニアン(Relvinian the Grand Master Mage)

若くしてグランドマスターの称号を享けた天才魔術師。
人外とも言える知識と魔力を持ち、デーモンの使役と召還方法を提唱した。
失われたはずの多くの黒魔術を修め、またその中よりデーモン召還を見出したといわれる。

彼はデーモンを召還し、確実にコントロールする術を作り出した。
この術は、濫用を抑えるためグランドマスターのみに伝えられ、行使することが許されたのだ。
これはデーモンを新たな労働力として従事させる事ができ、王もこれに諸手を挙げて賛同する。
多くの者が危険を訴えたにもかかわらず――

時は熟し、ロードブリティッシュ城ではこのプロジェクトの初披露目が開かれることになる。
王の御前、数多の来客の中で多くのデーモンが召還される。
そして召還されたデーモンたちは一斉に牙をむいたのだった。
城は阿鼻叫喚の地獄絵図と変わり、多くの行方不明者――死亡しているだろう――を出し、すべてのデーモンが討伐されるのに一週間を要した。

またこの騒ぎに乗じ、ブリタニア郊外にヘッジメイズといわれる大迷宮が誕生した。

リルビニアンは国家反逆罪に問われた。
また彼が最奥部に潜伏していると言われるヘッジメイズへの討伐隊が幾度も編成される。

――今に至るまで彼は捕縛されていない。
しかし、最奥部に潜入、物色した盗賊の誰一人でさえ人間の姿を見たものは居ない。

それどころか、デーモンを召還したはずのリルビニアンを、デーモン召還直後にさえ誰も見たものは居なかった。

なぜなら彼は、彼も――

この惨劇の後、王室の不信感は煽られ、ブリタニアには大きな混乱、諍い、政治的な対立の炎が以前にも増して燃え上がる。
そして次々に影の者たちの付け入る隙を与えていったのだった――