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□ 『八徳』 ロード・ブリテュッシュ著 □

世界には様々な考え持つ人々が暮らしている。
これは悪いことではない。
けれども、悪しきことより正しきこと、卑しむべきことより讃えられるべきこと、これを正しく分別するものは何か。
徳である、と断言できよう。
徳こそ、この共に手を取り合う社会においての必然たる成果である。

我々が互いに係わりあう社会において、行動の模範たるべき理念がなければ、それはただただ衰退するのみにある。
社会が成熟し、繁栄するためには、我々は互いに共通した基本理念を認め合わなければならない。

それを私は『八徳』と呼ぼう。
もしも誰か一人が、己の都合のためにこの模範を破ったとすれば、それは社会全体にとっての不都合となる。

人々を高めるものは三つの大いなる原理である。
これは「真実」「愛」「勇気」となる。
悪意にしろ善意にしろ、人の行動するべき理由から生ずる原動力、究極の公理である「無限」から生ずるものである。

実際、すべての行為、善行も悪行も、この三つの原理と、それに相反する「虚偽」「憎悪」「卑劣」の組み合わせで顕すことが出来る。
この三大原理は八つの組み合わせで示される。
それをもって八徳とするものである。
我々の起てるべき八つの徳は、以下の通りになる――

「誠実」
真実はそれだけで誠実の徳となる。
誠実さ無しに、最良の結果をもたらす為の信頼を築くことは出来ないであろう。

「慈悲」
愛はそれだけで慈悲の徳となる。
慈悲こそ他の者に求めるものであり、慈悲の心を示すものにこそ慈悲は与えられるであろう。

「武勇」
勇気はそれだけで武勇の徳となる。
武勇なき者は危険を冒さず、それゆえ目的を達成することもないであろう。

「正義」
真実は愛によって正義の徳となる。
愛をもって真実を求めることこそ公正な正義であり、愛なければ冷たく事柄を語るのみであろう。

「献身」
愛は勇気によって献身の徳となる。
人々が助けを必要とする者にその身を捧げるならば、やがてその者は人々にその身を捧げるであろう。

「名誉」
正義は勇気によって名誉の徳となる。
名誉ある騎士とは、騎士道精神によってその誓いを果たすものにこそ相応しいであろう。

「霊性」
真実と愛、勇気をもって霊性の徳となる。
魂の崇高さを磨くことは、その行為が、この世界にとって吉となるか凶となるかを考えることでもあろう。

「謙譲」
最後の徳は最も難解といえる。
第八の組み合わせは真実でも愛でも勇気でも無い、それは徳にもあらず、気高き人間性の中に顕れる心であろう。
おそらくこれは、神が与えし、真の美徳が謙譲であることを見抜くための試練を思わせる。
誇り高きマジンシアの人々は、それゆえこれを見誤ってしまった。
彼らの未来に何か良くないことが待ち受けても、それは驚くことでないかもしれぬ。

――このように、無限の公理より、真実、愛、勇気の原理が生じ、三大原理より誠実、慈悲、武勇、正義、献身、名誉、霊性、謙譲の八徳を導くことが出来る。